おひとり様で腎生検
大学病院で血液検査・尿検査・腎エコーなどをした結果、「重度・急速な腎障害の症状」と判断された私は、2日後に入院することになりました。(➡️関連記事:発症までの症状・後悔・体験談)
「腎生検は家族の付き添いが必要」と聞くこともありますが、おひとり様でも全く問題ありませんでしたよ。
それでは、「一人ぼっちの腎生検レポート」スタートです。
腎生検前日
私は、前日までに大量の血液検査、尿検査、心電図、レントゲン、腎臓エコーなどを済ませていたので、前日はゆっくりとしたスケジュールでした。
前日は、バイタルチェックや蓄尿・排尿記録のほかは、翌日に控えた腎生検のリハーサル(息を止める練習など)をしました。
(一般的には、腎生検の前日に入院することが多いそうです。私は、ヘモグロビンが10前後しかなく、高リスク患者として2日前に入院するように言われました。)
腎生検のリハーサル
腎生検の際に、実際にニードルで私の腎臓を採取してくれた先生と腎エコーをしながら、お話をしました。研修医に教えながら、私にも伝えるような形でした。
腎臓は呼吸で動く
腎臓は呼吸に合わせて動くそうです。実際にエコーを見ながら呼吸してみると、腎臓が左右に動きました。
そのため、腎生検の際には、呼吸を止める必要があります。この「息止め」ができない患者は、腎生検を受けることができません。
腎生検後はシャワー禁止
腎生検後のシャワーができない3日間、看護師さんが準備してくれるホットタオルや「TSUBAKI ドライシャンプー」、「GATSBY のボディペーパー 」でしのぎました。
必要物資の調達
水・飲み物
私は4ℓほどペットボトルの水を準備しました。
腎生検の当日から翌日までは絶対安静状態ですし、後1日はトイレまでしか自由に歩くことが許可されていません。後2日も病棟内までの行動制限があったので、水分は多めに準備しておいて良かったと思います。
また、腎生検後の絶対安静の時間は、精神的にとても辛いので、気分転換になるようなお茶やジュースなどを購入しておけば良かったなと思いました。
ストロー
私は、500mペットボトルにコンビニでもらったストローをさしました。ストロー付きのペットボトルキャップ があれば便利です。
ストリーは、歯磨きの介助をしてもらう際にも便利なので、いくつか余分に購入しておくといいでしょう。
食事の工夫
付き添いなしのおひとり様だったので、寝たままでもなるべく食事を取りやすいように工夫してもらいました。私は、白米を小さなおにぎりにしてもらい、お腹にお皿を置いて、寝たまま一人おにぎりをモグモグ食べました。
(正直、前日の夜から緊張して、あまり食べれていなかったので、腎生検が終わるとお腹ペコペコで、このおにぎりが本当に美味しかったです。)
お菓子・タブレットなど
腎生検が終わった後の絶対安静の時間は、精神的にも結構辛いです。そのため、チョコレートクッキーやカロリーメイト、気分転換のミンティアなどを準備しておきました。
スマホ・PC・ワイファイ
スマホ・PC・ワイファイは入院時の三種の神器ですが、これらは充電を満タンにしてイヤフォンをつないでおきましょう。
食事は、前日の22時まで、水分は当日の7時までです。
腎生検当日
ビビリにビビった腎生検の当日です。怯えていたポイントは
- 尿の管を入れること
- 筋弛緩剤の筋肉注射
- 局所麻酔
- 腎生検
- 腎生検後の絶対安静
の5点でした。結論から言うと、思っていたより全然大丈夫でした。
本番まで
9:30スタートのスケジュール感をお伝えできればと思います。
- 食事は前日22:00まで
- 水分は当日7:00(2時間半前)まで
- 当日排便がない場合は浣腸
私は、絶対に浣腸をしたくなかったので、前日から「乳酸菌タブレット」をたくさん食べて排便につとめました。この「乳酸菌タブレット」と「ピルクル」は入院中の便秘予防の強い味方です!大成功でした!
8:00:採血・検尿・点滴
いつもどおり問題なく採血や検尿をこなした後、点滴に苦労しました!!
なんと、点滴のルート確保を2回も失敗された挙句「できる人呼んできます〜!」と言われて、1時間放置されました。
9:00:着圧ストッキング・点滴・尿管
腎生検開始30分前から、急に慌ただしくなりました。
最後にお手洗いに行き、着圧ストッキングをはきました。
看護主任の看護師さんが来て、点滴のルート確保を一発でしてくれました。見事でした。
そして怯えていた尿道カテーテルですが、ビビる暇もなく、入れられちゃいました。あまり痛くなかったのですが、うまく導尿できなかったようで、「点滴に続いて尿管も入りにくい!」なんて言われちゃいました。
ただ、この時、血尿が出たようで、看護師さんが大慌てで検査に運んだり、バタバタとしていました。私は、まな板の上の鯉です。
そしていよいよ処置室に移動します。
腎生検本番
病室のベッドのまま処置室に運ばれました。
処置室に入ると、点滴で止血剤などが落とされ、心電図のモニターなどが装着されていきます。
ぼーっとしていると、肩のあたりに筋弛緩剤の筋肉注射をされました。この筋肉注射にも怯えていたのですが、全く痛くなかったです。通常の採血と比較しても、痛くない程度でした。
この筋弛緩剤を注射した後からは、次第にろれつが回りにくくなりました。
管をたくさん繋がれたまま、うつ伏せに移動します。背中にシートが被せられました。検査箇所に消毒がたくさん塗られます。
局所麻酔
局所麻酔は、1本目は痛かったです。1本目を打った後に「これ痛いですか?」と聞かれて「痛くない」と答えた後の2本目も痛かったです。そして、主治医と担当医の会話「もう1本表面に行っとこ」と言われた後の3本目が1番痛かったです。
痛くないと言えば嘘になりますが、よく考えてみれば、ほんの数秒痛い痛いぐらいなので、余裕で耐えられる範囲だと思いました。仕事して入れば、数時間単位で苦しい仕事ありますよね?1分の痛みなんて、余裕だと思いました。
※この局所麻酔の本数については、医師に確認したわけではなく、検査中の私の理解です。正しくない可能性もあります。ご容赦ください
腎臓を生検
この頃には、覚悟が決まっていたのか、筋弛緩剤の効果なのか、頭がぼーっとして全く緊張していませんでした。
- まず、生検する際のバチンと大きな音に驚かないよう、先に音を聞かせてくれました。驚くほど大きな音ではありませんでした。
- 1回目は、呼吸の練習1回:呼吸を整えて、深く吸って止める→本番採取
- 2回目3回目は、呼吸の練習と思っていたら、すぐに採取されました。
- 生検ごとの間には、10分程度時間を図りながら、医師が止血をしてくれます。
- 4回目するかどうかの話し合いの際に、「20本は取れているので大丈夫です」と、同席していた専門家?の人が判断して、3回で終わりました。
- その後、20分ほど医師により圧迫止血をしてもらった後、うつ伏せから仰向けに動かしてもらいます。「板のように力を抜いて」と言われていたのですが、イメージしていたのとは異なり、とても乱暴に仰向けになりました。
これにて生検の施術自体は終了です。背中に冷たい感覚があったので、血の海なのかとイメージしていたら、皮膚の傷は1センチぐらいで体外への出血は非常に少ないそうです。それよりも、体内の臓器の止血が重要とのことでした。
これにて腎生検は終了です。しかし、この後の絶対安静の時間も大変でした。
絶対安静24時間
10:30〜絶対安静6時間
腎生検後24時間は、腰から下を一切動かさないように、絶対安静が指示されます。特に、最初の6時間はフラットな状態で、砂嚢を右左の腰に当てて、自分の体重で止血を続けます
- ベッドのまま病室に戻り、少し休憩して時計を見ると10:30ぐらいでした。処置室にいた時間は1時間ぐらい、止血の時間などを除くと、実際に腎生検をした時間は非常に短かったと記憶しています。
- このとき私は、筋肉注射が聞いていたのか、ろれつが回りにくく、ぼーっとしていました。医師にも「ちょっと効きすぎたかな」と言われました。このままうつらうつら眠れたので良かったです。使い方を間違えると怖いですね。だいたい16:30まで6時間の絶対安静です。腰から下は絶対に動かさないように言われます
12:00:昼食
前日の夜から緊張のあまり、あまり食べれておらず、当日の朝は絶食だったこともあり、本当にお腹が空いていました。親切な看護師さんが入院食のご飯をおにぎりに手配してくださっていたので、寝転んだままお腹にお皿を置いてモグモグ食べました。塩分制限食なので、もちろん塩なしのおにぎりなのですが、本当に本当に美味しかったです。200gぐらいの白米を食べることができたと思います。看護師さんがおかずも食べさせてあげると言ってくださいましたが、遠慮しました。
付き添いの人がいれば、おかずも遠慮なく食べれたのかなっと思ったりもしますが、完食するほどの食欲はありませんし、腰から下の絶対安静なので、手や首を動かすことはできるので、食事に関しては全く問題ありませんでした。歯磨きも看護師さんが手伝ってくれました。
絶対安静:後半の3時間
6時間の安静のうち前半3時間は余裕でした。お昼ご飯を食べたり、うつらうつら眠りました。後半の3時間は辛かった。基本的には寝ていたのですが、15分ごとに時計を見たりしていました。動けない体の痛みだけでなく、精神的にきつくなるので時は準備していたチョコレートクッキーが気分転換に重宝しました。何かご自身の気分転換のアイテムを準備されると良いと思います。もちろん食べ物以外に音楽や映画なども良いと思います。
16:30〜:ベッド45度アップで絶対安静継続
腎生検をしてくれた先生が来て、診察をした結果、ベッドを45度までアップできる許可がおりました。看護師さんが足も挙げて楽なバランスを作ってくださり、生き返りました。
参考まで:この6時間後〜24時間の扱いについては、医師と看護師によって判断が異なる様子でした。医師は、「ベッドからおりなければ寝返りもOK」と言っていましたが、看護師さんの説明では「ベッド45度まで解除のみ。腰以下動かさないこと」と言われていました。
結局、医師から「寝返りする時は看護師に補助してもらって」ということで話がまとまりました。が、ビビリな私は、保守的に、腰より下は動かさないように気をつけました。
絶対安静中に免疫膠原病科の先生が診察に
腎臓悪化のスピードが非常早かったので、腎生検後できるだけ早く治療をスタートできるようにお願いしていました。絶対安静中に早速、免疫膠原病科の研修医が診察に来てくださりました。1時間ぐらいお話して、むしろ良い時間つぶしになりました。触診ができなかったことを残念そうに、帰られました。
18:00:夕食
ベッドを45度まで上げることができたので、夕食は自分でお箸を使って食べることができました。とても美味しかったです。
そして、寝たまま歯磨きセットをプロのように使いこなしました。お片付けは、看護師さんが手伝ってくれます。
腎生検翌日
7:00:定例のバイタルチェック
翌日7:00頃には、看護師さんが定例のバイタルチャックに来てくれます。ベテラン看護師さんが「よー頑張ったな!あと2時間ちょっとや!」と声をかけてくれて、涙が出そうに嬉しかったです。朝ごはんは食べずに、先生のエコー診察を待ちました。
8:30頃:研修医の先生来たー!と思ったら
ようやく医師が来てくれたーと達成感を感じていたら、「今は、別の人がエコーを使っているので、あと30分ぐらいしたら来ますね!」ってことでした。がーん。この30分間が一番辛かったかもしれません。
9:00頃:担当医来て、エコーして、安静解除
私の腎臓を生検した担当医の先生が来てくれました。エコーして、血栓?などが内科を確認してもらい絶対安静解除です。って言っても、今日は、部屋のトイレまでしか歩くことができません。それでも、とてもホッとしました。
ちなみに24時間もの間、動かないと体が固まって動かなくなります。それなのに、「自分の力で動いてください。リハビリです。」と言って、手も貸してくれなかった担当医・・好きです。笑
9:30頃:撤収作業は早いです
- 尿を外します。膀胱の中で膨らましている風船の水を抜くだけで、簡単に外れて感動しました。
- 朝の採血結果を確認して、点滴の針を抜きます(私は、少し様子を見ながら1夜に抜きました)
以上、これで終わりです。
腎生検の感想
検査前から私は多くのことにビビっていました。しかし、結果からいうと、痛かったのは局所麻酔だけです。と言っても数秒程度の痛みですので、普通に我慢できる範囲でした。局所麻酔は1時間程度で切れるそうですが、その後も痛みなどは全くありませんでした。数日後にガーゼを外した後の傷は、本当に1センチほどで驚きました。
実は、高リスクの腎生検でした
私は、赤血球やヘモグロビンが正常より少なく、かつ血小板が原因不明に減少する(ITP:特発性血小板減少性紫斑病)を患っており、とてもリスクが高い腎生検でした。輸血をする可能性は十分に高いと言われており、点滴の針もしばらく外さずにいました。結果、輸血もせず無事に終了することができました。施術してくださった医師や看護師の方の技術だけでなく、サポートしてくださるその心に、多くを助けられました。ありがとうございました。
関連記事:腎生検で血栓ができた話はこちら
長文レポートを最後まで読んで下さり、ありがとうございます。あくまで私のケースであり、私個人の体験談です。ご理解くださいますようお願いいたします。
この腎生検の結果をもとに、今後の治療が進められます。
腎生検の結果はこちら
治療してもどんどん腎機能が悪くなった話はこちら
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