体験談【腎生検・結果報告】病理組織診断報告書とループス腎炎治療方針|SLE治療ブログ

入院して、腎生検をしてから腎生検の結果が出るまで、また、病理組織診断報告書とループス腎炎の治療方針について、私の実体験を紹介しています。

あくまで私のケースであり、医療従事者ではない患者のブログであることを十分にご理解ください

腎生検の結果

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スケジュール

入院3日目におひとり様の腎生検

入院8日目に腎生検の結果速報

入院11日目に正式な病理組織診断報告書

結果速報(腎生検から5日後)

腎生検の結果には3種類あって、一つを除いては1週間以内に結果を知ることができるそうです。

私が入院した大学病院では、腎生検の執刀医がその日のうちに染色(?)して、腎臓の組織を観察してくれていました。

私の場合は、腎生検をする前から、腎臓の状態が良くない、急性期で急激に腎障害が進行していると聞かされていたので、ある程度、覚悟はできていましたが、実際に腎生検の結果速報を実際に聞くと、非常に落ち込みました。




ループス腎炎Ⅳ型

腎生検の結果速報は、腎生検後、5日目に知らされました。

私は、ループス腎炎Ⅳと診断されました。ループス腎炎Ⅳは、「全糸球体の50%以上に病変が存在するびまん性ループス腎炎」で、腎機能が悪化するリスクが高く、強力な免疫抑制による治療が必要とされています。

簡単に言うと、「最も腎不全・人工透析になりやすい予後不良な状態」であると説明されました。分かっていたけれど、「予後不良」と言われると辛かったですね。

関連記事

➡️ループス腎炎の6つの種類と標準的な治療法・予後

➡️60日間で腎機能が5割低下した私の話

腎生検病理組織診断書(腎生検から8日後)

腎生検の正式な結果報告である「病理組織診断書」は、腎生検から8日後にいただきました。

腎臓病内科と免疫膠原病内科の医師(それぞれ主治医・担当医・研修医の合計6名の医師)と私の家族との面談の時間を設けてもらいました。腎臓病内科(病理)と免疫膠原病内科(治療)の両方の医師が揃ってくれたことに、チーム医療の安心感のようなものを感じました。

しかし、この「腎生検の結果と治療方針の会議」は、精神的に大変でした。自分の腎臓が本当に悪いと言うことが、絶対的なデータ(腎臓糸球体の標本)として示され、正式に病気を受け入れるということが、辛かったです。そして、そのことを家族が知り、悲しそうにする家族を見ることも辛かったです。

ループス腎炎Ⅳ・予後不良




先ほども書きましたが、私が診断されたループス腎炎Ⅳは、「進行が早く、予後が良くないタイプ」です。実際に、治療を開始したにも関わらず、60日間で腎機能が5割低下するなど、入院治療期間は、とても辛いものでした。

それだけでなく、腎臓がとても悪くなったときに現れる「半月体」と言われるものまでありました。

半月体は、急速進行性糸球体腎炎の特徴的な病理像です。半月体により、糸球体の血流が妨げられ血液ろ過が急速に低下して腎機能が悪化します。自己抗体が陽性な症例や免疫複合体が沈着する病型が多く、免疫学的機序を介しておこるものと考えられています。

簡単に言うと、私の腎臓はとても急速に悪くなっている最中で、あと「1週間遅かったら腎臓が死んでいたでしょう」とのことでした。

治療方針




ループス腎炎のガイドラインでも示されている通り、まずは、ステロイドや免疫抑制剤を使用して寛解導入を目指します。特に、腎機能が悪化するリスクが高い増殖系ループス腎炎(Ⅲ・Ⅳ)では、協力な免疫抑制が推奨されています。

私の場合

  1. 副腎皮質ステロイド薬の大量投与
  2. 免疫抑制剤「セルセプト
  3. 免疫調整剤「プラケニル
  4. 抗がん剤「エンドキサン」
  5. マルチターゲット療法「プログラフ・タクロリムス」

など5つの治療ストーリーが示されました。「1ステロイドの大量投与+2免疫抑制剤」を基本に、必要に応じて3プラケニル、4エンドキサン、5免疫抑制剤の追加(マルチターゲット療法)で治療するとの方針です。

現在のところ、1〜3「ステロイド+セルセプト+プラケニル」で寛解導入することができています。

直近の状況について詳しくはこちらを

➡️2018年10月【治療開始から8ヶ月経過】プレドニン12mgに減量

1:ステロイドの大量投与

副腎皮質ステロイド薬を大量に投与します。炎症や自己免疫を抑えることで、全身性エリテマトーデス(SLE)により、自分の免疫が自分の体を攻撃している状態を改善します。

ステロイドは即効性があり、膠原病やIgA腎炎の治療に必要不可欠な薬ではありますが、副作用が大きいために長期で服薬することができません。

具体的には、60mgを2週間服薬した後に、1週間1割程度のペースで減薬を進めました。私は、今回の治療では行いませんでしたが、もっと多くのステロイドを短期間で大量に点滴する「パルス療法」をする場合もあります。

(ステロイドを20〜30g以上服薬する場合には、感染症のリスクが高いことなどから入院する必要があります。そのため、ステロイドが必要な膠原病治療などにおいては入院期間が長期になることが多いです。)

ステロイドの副作用は、本当に怖いです。顔が丸くなるムーンフェイスや不眠、脱毛のほか、骨粗鬆症、大腿骨頭壊死など生命予後を大きく左右する重篤な症状まで様々です。

関連記事

➡️ステロイドの標準的な治療と副作用

➡️ステロイドでムーンフェイスになる理由

➡️ステロイド投与後の大腿骨頭壊死症の副作用

2:免疫抑制剤「セルセプト」

免疫抑制剤「セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル)」は、もともと移植時の拒絶反応に使用されていた薬で、2015年に全身性エリテマトーデス(SLE)のループス腎炎に適用が拡大しました。

セルセプトは、従来主流であったエンドキサンよりも有効で安全だとされており、現在は、ステロイドで十分な治療効果が得られない場合、セルセプトを処方することが多いそうです。

ただし、セルセプトは、催奇形性が報告されており妊娠禁忌です。妊娠を望む場合には、最低でも6週間以上セルセプトを中止する必要がある旨が薬の添付ファイルに記載されています。また、生ワクチンもしよう禁忌です。

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➡️セルセプトの標準的な治療方法と副作用

➡️セルセプトの血中濃度と適切な維持量の決め方

➡️免疫抑制剤の後発薬使用に関する考察

3:プラケニル

世界的な全身性エリテマトーデス(SLE)の治療ガイドラインにおいては、免疫調整剤「プラケニル(ヒドロキシクロロキン)」が第一選択肢として推奨されています。

日本では、2015年に承認されたばかりの薬です。

私の主治医からは、「免疫抑制剤というよりは免疫調整剤のようなイメージ」「即効性はないが、緩やかに穏やかに免疫を調整していく」との説明がありました。

プラケニルの副作用で1番怖いのが「網膜症による失明」です。プラケニルを服薬する前には、眼科を受診することが必須ですし、服薬中も定期的な眼科検診が必要です。

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➡️プラケニルの標準的な治療法と副作用|

◯⚫️◯私が実際に経験した治療は、ここまでの1〜3のステロイド+セルセプト+プラケニルまでです。以下、4エンドキサン、5免疫抑制剤の追加(マルチターゲット療法)については、今後の可能性として説明を受けています◯⚫️◯

4:エンドキサン




2015年に免疫抑制剤セルセプトが承認される以前は、第2選択肢としてエンドキサンが使用されることが多くあったそうです。

エンドキサンはがん治療にも使用される抗がん剤の一つで、特に、全身性エリテマトーデスなどは20〜30歳代の出産適齢期に発症することが多く、妊孕性などが大きな問題となっていました。

ただ、ステロイドやセルセプトで十分な効果が得られない場合には、現在でもエンドキサンを投与することはあるそうです。

実際、私も、薬物大量投与しているにも関わらず60日間で腎機能が5割低下した入院期間には、エンドキサンを投与するか医師の間でカンファレンスが行われていました(結果、エンドキサンはしませんでした)。

5:マルチターゲット療法

近年では、マルチターゲット療法としてミコフェノール酸モフェチルにカルシニューリン阻害薬である「プログラフ」タクロリムスを組み合わせて投与する治療法なども行われます。

ステロイド+セルセプト+プラケニル」への追加の治療として、4エンドキサン、5免疫抑制剤の追加(マルチターゲット療法)のいずれを選択するのかは、医師によっても判断が異なるとのことでした。私は、独身のアラサー女性ですので、「今後、出産を希望する可能性がある」として、4エンドキサンではなく、5免疫抑制剤の追加(マルチターゲット療法)となる可能性が大きかったようです。ただ、4エンドキサンは古くからの治療法として治療実績やエビデンスがしっかりとあるとのことでした。

3剤以上の免疫抑制剤による治療(マルチターゲット療法)はエンドキサンよりも寛解達成率が高いとの論文もありますので、参考までにご覧ください

➡️マルチターゲット療法はエンドキサンより寛解達成率が高い

私の予後




腎生検の結果、最も予後不良とされる「ループス腎炎Ⅳ+半月体+Ⅴ(a)」と病理診断された通り、その後の入院治療は100日を超え、非常に辛いものとなりました。

ステロイドやセルセプト、プラケニルを最大量投与しているにも関わらず、日に日に腎機能が低下(クレアチニンが上昇)したことが本当に辛かったです。60日間で腎機能は見事に半分以下となりました。➡️60日間で腎機能が5割低下した私の話

ただ、同じループス腎炎Ⅳ型であっても、クレアチニン値が正常なSLE友もいますので、ループス腎炎Ⅳだからと言って、必ずしも私のように腎機能がここまで悪くなることはないと思います。私は、「こんなに薬が効かないSLE患者は初めてだ」と主治医に言われたほどですので。

あくまで私のケース、私の体験談であることをご理解くださいね。

➡️60日間で腎機能が5割低下した私の話

➡️現在の治療状況:【治療開始から8ヶ月経過】

➡️ループス腎炎の6つの種類と標準的な治療法・予後

➡️おひとりさま腎生検レポート

➡️塩分2gで楽しむ外食サイト




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