全身性エリテマトーデス(SLE)患者の約半数以上が発症するとされる「ループス腎炎」。SLEにおいて腎障害は最大の予後決定要因と言われています。
現在は、治療薬の進歩などもあり、SLE腎炎が直接的な死因となることは、ほぼありません。ただし、正しい治療を行うこととができなければ、「人工透析」となる治療が難しい病気であることに変わりありません。
私自身もSLE腎炎により、急速に腎機能が障害され、透析が視野に入っていた時期もありました。今は、ありがたいことに、安定した状態ではありますが、「SLEを原疾患とした透析導入の現状」について、日本透析医学会HPを参考にしながら、ご紹介します。
結論からからいうと、
- SLEを原疾患とする透析患者数は約2222名、
- SLEを原疾患として年間約200名が透析導入
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SLE腎炎を原疾患とした透析患者数
2016年末時点で、SLEを原疾患とした透析患者数は、
- 男性713名、女性1,509名の合計2,222名
- 透析患者総数約32万人に対して、約0.7%
ここからは、私の個人的な推測ですが、
SLEの患者数が約6万人、その半数がループス腎炎を発症すると仮定して3万人のうち2222名と考えれば、ループス腎炎から透析となる確率は10%以下と計算されますが。
同じループス腎炎といっても軽症者の方もいらっしゃるし、クレアチニンが正常の方もたくさんいらっしゃいます。
そのため、私程度(ループス腎炎Ⅳで半月体あり、重度の腎障害あり)の患者に限ると、人工透析になる確率は、決して低くないように思いました。
SLEを原疾患とした年間の透析導入件数
SLEを原疾患として、人工透析となってしまう年間の透析導入患者数は
- 男性86名、女性133名の合計219名
- 透析導入患者数総数約37千人に対して、約0.7%
年間で200名を超えるSLE患者が透析導入となっているようです。
想像していたより、とても多くのSLE患者が新規透析導入となっているようです、
SLE腎炎からの透析導入は減少していない
- SLE腎炎から新規に透析導入に至る患者数は減少していない
- 治療の効果が低い場合(尿蛋白の陰性化や寛解導入が困難)は、高い確率で透析に至る。
- ただし、治療は長期化し透析への導入年齢は高くなっている。
(「全身性エリテマトーデスとループス腎炎の病態」を参考にしました。)
SLEを原疾患とした透析導入の場合
- 予後は通常の腎不全患者に比較して必ずしも良好とは言えない
(「SLE患者の透析」を参考にしました)
原疾患であるSLE(全身性エリテマトーデス)にかかる治療、ステロイドや免疫抑制剤の服薬、またそれらの副作用などが、生命予後を左右することも少なくないようです。
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